厠草子

これで尻でも拭いてください

花ぞ(忘れたい)昔の香ににほひける

久しぶりに使う香水の香りを嗅ぐと、古い記憶が呼び覚まされる。だいたいは、焦燥感とともに。 人が香水を買いたくなるのはどんな時だろう。わたしは、香りのイメージを借りて現実のつらさを払拭したい時だ。 ある時は怒られてばかりのバイト先に向かう道を…

服と想いと思い出と:水色のシャツワンピース

シャツワンピースは、多分まあまあ似合う方だ。 おしゃれがわからなかったその昔、最初にクローゼットに招き入れたのはチュニックだった。ワンピースやスカートを履くのは調子に乗ってると思われそうで怖かったし、パンツスタイルでどうおしゃれをしたらいい…

終わらす ための 師走

しわっす。 「終わり」のもたらす効果 今年もまた12月がやってきた。 1年のうちで一番好きな季節は12月だ。街が華やかだったり、ボーナスが出たり、イベントや連休があったりするのもそうなのだが、何よりうれしいのは「終わり」が来るというところだ。 仕事…

怒られたときに「○ね」と思う効能(兼・中島義道『ひとを〈嫌う〉ということ』感想文)

あいつ○ねばいい。絶対○す。必ず○す。 久しぶりに怒られた マルチタスクの多い部署に勤めている。やることが多い。しかも登山のごとく遠大なプロジェクトじゃなくて、100mダッシュみたいな細けえ仕事がいっぱいある感じなので、なお多く感じる。タスク管理が…

モードがやりたい

この秋は、この何十回目の秋こそは、モードになりたい。 夏が終わる気配がしてきた。今年の夏もいっぱい好きな服を着た。春から夏にかけて友だちと絶縁したし、お盆休みには親族宅で大暴れしてとんぼ返りしたり、したけど、それでもいい夏だった。好きな服を…

いとしのベタちゃん

会社に行く途中、毎朝すれ違う女の子がいる。 名前はベタちゃん。わたしが勝手にそう呼んでいる。 彼女はいつも、黒くて長い髪を左右に振り分けて胸あたりまで垂らしている。その毛先があまりにも真っ直ぐ揃っていて、痩せも衰えも知らずぷるんとまとまって…

Sくんへ(追悼にかえて)

お久しぶり。まさか歳下のあなたが先に旅立ってしまうとは思いませんでした。最後に会ったのはあなたが中学生か、もしかしたら高校生くらいの頃かな。いつも笑顔で天真爛漫に見えたあなたが、よもや生きていることをやめたくなるくらいに苦しんで、自分で命…

思うこと

あの表現はたしかに秀逸だった。「絵から自分を罵倒する声が聞こえた」。 傑作に打ちひしがれることはあっても、その偉大さに悪意を感じることはない。それが己を攻撃しているという「被害妄想」は、あの悲惨な事件の犯人のあまりにも捻れた、身勝手な、犯行…

雑記:粧すということについて

年が明けた。最近のわたしはというと、たいそう疲れ果てている。 短かかった正月休みにだらけた体が回復しないままこの2週間は過ぎた。離職の手続きのバタバタもあり、精神的にもあまり余裕がなかった。 気が付けば、部屋はぐちゃぐちゃ、食事は不規則、着る…

世界よ、かわいいの種類は無限ではありませんか(後編)

前編のあらすじ フェリシモとの出会いにより、コンセプトを纏うというおしゃれにおけるy軸を手に入れたが、ついにすきな人ができてしまう。 大学生その2:モテとはどんなものかしら そう、すきな人ができてしまったのである。それは、自分以外の人間(それも…

世界よ、かわいいの種類は無限ではありませんか(前編)

おしゃれが好き。 昔から『かわいい』という言葉を呪い、またそれに憧れながら生きてきた。 自分が『かわいい』側でないことへのコンプレックスは3歳くらいの時からあった。当時の友達がお金持ちの美人さんで、私はさえない顔と服で彼女の隣に並ぶたびに「あ…

心の皮膚

今日、十年来の友人に会ってきた。 彼女は心身があまり健康ではない人だ。現在就労はしていない。親御さんと、兄弟と、一緒に暮らしているという。 彼女はとても繊細な人だ。そしてその感受性の豊かさ、想像力の豊かさ故に、人と人との間に入って立ち回るの…

意識の低い会社員によるモーニングルーティン

どうも、YouTubeをご覧の皆様、「厠草子チャンネル」にお越し下さりありがとうございます! 本日は、やる気なし営業マンを自負するわたしのモーニングルーティンを紹介したいと思います。 と言いますのも、巷で紹介されているものって大体「美容にやる気があ…

パーティーを止めるなよ、止めるなよ、いや止めろよ(ヒプマイ)

※ヒプの世界にいるとも限らないモブが主語です。 Q.MC GIGOLO へ はじめてお便りします。GIGOLOのラジオ、いつも聴いてます。リスナーのももこと申します。 通勤中に一二三くん(と呼んでもいいですか?)の曲を聴いて、かっこいいラップに癒されています。最…

この白黒つけられない世界の片隅に(ヒプマイ)

※ヒプの世界にいるとも限らないモブが主語です。 DOPPO、おまえ変わっちまったな。 新曲聴いたよ。いい曲だった。超キレててカッコよかった。なんか、正統派の社畜っていうか、ちゃんとサラリーマンしてるやつの歌だったよな。 仕事はたぶんそこそこ以上にで…

リモートワークと孤独とInstagram

このたび、わたしの勤める会社もついにリモートワークを開始した。部署が営業部なので、基本的にはパソコンを持ち帰って、顧客からのメール対応や現場に指示をするくらいである。ぶっちゃけひまだ。まだ1日しか経っていないけれども感想をメモしておこう。 …

映画『プレシャス』を観ました

いきなりですが星野源さんが好きです。 楽曲ももちろんなんだけれど、同じくらい彼の文章が好きです。一言で表現するならば、文字書きに向いているという自負がある人特有の、あの鼻持ちならない感じが彼の文章にはない。話の持っていき方や文章の締めはとて…

不器用な人が羨ましい話

当方、小学校に上がる前から集団に馴染めなかった典型的なぼっちであるが、この歳になるといい加減人間関係のミソが把握できるようになってくる。 人は受容されたい。人は認められたい。はじき者にされたりせせら笑われたりするとひどく傷つく。だからこそ初…

終わりない日常その名は会社

社会人なので一人前に働いている。いや正確には0.5人前くらいか。新人なので仕事の内容はまだ一人前とは言えない。でも一人前に社会人をやっている。 社会人をやる、とはどういうことか。これは各々の認識の解像度や、価値観が大いに反映される問いだと思う…